不倫の慰謝料が低額になる場合の要因

文責:弁護士 森田清則

最終更新日:2025年04月14日

1 不倫慰謝料を変動させる要因について

 実務においては、不倫慰謝料には相場が存在します。

 不倫慰謝料の金額は、数十万円~300万円程度です(100~200万円となるケースが多いとされています)。

 金額に大きな幅がある理由は、不倫慰謝料を増減させる要因がいくつか存在することです。

 その中でも不倫慰謝料が低額になる要因としては、次のものが挙げられます。

 ① 婚姻期間が短いこと

 ② 不貞行為の回数が少ないこと

 ③ 不貞行為があった時点で夫婦関係が良好でないこと

 以下、それぞれについて説明します。

2 婚姻期間が短いこと

 不倫慰謝料は、不倫をした配偶者および不倫相手がした不貞行為によって、不倫をされた側の配偶者が有する平穏な夫婦生活を送る権利が侵害されたことに対して発生するものです。

 この権利の侵害の程度によって、不倫慰謝料は増減するという見方ができます。

 平穏な夫婦生活を送る権利は、長年の積み重ねによって構築され、時間の経過とともに重要さを増していくものであると考えられています。

 逆に、婚姻期間が短い場合、不貞行為による権利侵害の程度が小さくなると考えられ、不貞慰謝料の金額も低くなる傾向にあります。

3 不貞行為の回数が少ないこと

 不貞行為は、不倫をされた側の配偶者に対して精神的損害を与えるものです。

 一般論としては、不貞行為の回数が多ければ損害は大きく、少なければ損害は小さくなる傾向にあると考えられています。

 そのため、不貞行為の回数が少ない場合、不貞慰謝料は低額になる可能性があります。

 また、実務上は、不貞行為の回数が少ないと証拠が取得できないことや、不倫相手の身元を調査できないこともあり、慰謝料の請求が困難になるというケースもあります。

4 不貞行為があった時点で夫婦関係が良好でないこと

 先述のとおり、不倫慰謝料は、不貞行為によって平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された場合に発生します。

 見方を変えますと、夫婦生活が平穏な状態でない場合には、権利侵害の度合いも小さくなるといえます。

 不貞行為があった時点で、すでに不倫以外の事情によって夫婦生活が悪化していたという場合には、不倫慰謝料は低額になるか、発生しないということもあります。

PageTop